成女では、自分の興味や得意を進路につなげること(キャリア教育)を教育の柱にしています。
キャリア教育には、夢の発見・夢への前進・夢の実現の3段階がありますが、中学で特に大切にしているのが「夢の発見」です。
中高生は授業や部活や友人関係に大忙しですので、将来の夢を探す時間はなかなかありません。
そのため、身近なことをヒントにするほかなく、YouTuberや声優になりたいと考える生徒が多くなる傾向が見られます。
夢があることは良いことですが、一方で、限られた選択肢から選んだものであるなら、もったいないことだとも言えます。
私たちは、この「夢の発見」を充実させることがキャリア教育の質を上げるカギだと考え、中学の3年間を「夢の発見」期間と位置付けています。
そしてこの「夢の発見」は、3つのステップから構成されています。
それは「職業を知る」「職業を体験する」「職業を考える」の3つです。
生徒たちはこの3つのパートを繰り返し学びながら、将来を考えるための選択肢を広げ、仕事とはどういうものかを理解できるようになっていきます。
「夢の発見」の最初のステップは「職業を知る」です。
1 まず、様々な職業について、動画や写真を見ながら知識を増やしていきます。
2 次に、いまの自分の興味や得意に近い職業を、少しずつ探っていきます。
世の中にある職業を網羅的に知る方法は様々ある中で、中学の段階では、具体的な分野や職業ではなく、生徒の志向性との親和性をひとつの切り口にしています。
例えば次のようなものです。
「夢の発見」の第2ステップは「職業を体験する」(フィールドドリップ)です。
1 まず、職業体験施設のキッザニアを訪問し、事前学習で目星をつけたいろいろな職業を、パビリオンで実際に体験することをしています。
施設は幼児や小学生も楽しめるように作られていますが、本校生徒は中学1年生で訪問しますので、アトラクションを楽しんで終わりにするのではなく、授業でしっかりと振り返りをして次の職業体験につなげていきます。
2 次に、一つの職業をじっくり体験します。一般企業や店舗に依頼をして、生徒を1日受け入れて頂き、職場体験をします。
たとえばファストファッションの店舗では、朝礼から参加させて頂いて、品出し・展示・接客・掃除など、販売現場での仕事にひと通り挑戦するのがフィールドトリップの特長です。
客として行ったことのあるお店で店員側のお仕事を経験してみると、ものの見方が180度転換しますので、働くことの意味を体感できます。
いわばアルバイトの先行体験ですが、中学生のうちに就業の意識を得られることは、生徒にとって大きな一歩になっています。
「夢の発見」の3番目のステップは「職業を考える」です。
職業体験で感じたことを踏まえて、あらためて仕事について考えることが大切です。
例えば次のような観点です。
このステップでは、ワークショップやゲームを通して、ディスカッションする形式が中心になります。
働くということに対する理解が深まり、夢(進路)を考える原動力となって、生徒たちはキャリア教育の3ステップのサイクルを繰り返し回していきます。
最初、生徒たちの仕事に対するイメージは「人の役に立つ」「お金をもらえる」「義務」「つらい」「経済が発展する」「頑張ってやること」などのぼんやりしたイメージであることが多いものです。
しかし、この「夢の発見」の3つのステップを通していつのまにか深まっていき、やがて「自分の好きなことを社会に活かせる」「人生を豊かにする」「やりがい」「社会で助け合うこと」などと感じるようになっていくのです。